自主企画「本当に自信のある短編(1人1作)」の感想集
自主企画「本当に自信のある短編(1人1作)」の感想集です。 尾崎中夜『夜になったふたり』 尾崎中夜『夜になったふたり』 曲折する無名の二人。 無名の――というのは、人に知られていないというのもありますけど、この作品の場合は実際名前が出て来ないというのも含めれています。彼女はいつまでも「女」か「娘」であり、彼は「男」としか書かれない。 最初の方は、文章の呼吸が独特だなと驚き、次第に無名の二人の人生を […]
レビューを書いた小説です。
自主企画「本当に自信のある短編(1人1作)」の感想集です。 尾崎中夜『夜になったふたり』 尾崎中夜『夜になったふたり』 曲折する無名の二人。 無名の――というのは、人に知られていないというのもありますけど、この作品の場合は実際名前が出て来ないというのも含めれています。彼女はいつまでも「女」か「娘」であり、彼は「男」としか書かれない。 最初の方は、文章の呼吸が独特だなと驚き、次第に無名の二人の人生を […]
藤田桜『心臓を濯げキアウィトル』 妹が雨の神への生贄に選ばれた。 こちらは小説家になろうで掲載させていただいている『雨が心臓を食べるので』を書き直したものとなっております。 衝撃的でした。私が一等好きな作家が書く文章に似ていて、しかし紛れもなくオリジナルだったので。なろうで前のバージョンが公開された時もリアルタイムで読んでいましたが、ずっといいと思いました。 なんと優しく、美しく残酷に書かれるので […]
姫乃只紫『僕は小説を書くのが好きで好きで堪らないヤツが憎くて憎くて仕方がない』 才能と実力さえあれば、小説家になれると思っていました。 「どうして──みんな脚光を浴びたら、評価されたら、自分の作品が生計を立てることに繋がったら、それは嬉しいことに違いないという宗教を信じているのでしょう」 最初読んだ時救われたと思ったんです。でも、それは多分この作品を読んで救われたと言っている多くの人とは違った感想 […]
和菓子辞典『メルカトルワールド』 平らな星、火器なき文明、御伽噺の世界でなおも、彼らに選択の時は迫り来る 整序されたカオスで、彼らは何を選ぶのだろうか。 二万年前、かつて鉄と火と言霊の文明が栄えていた地球は、その持ちうる文明すべてを自壊に尽くした。そこかしこに火が満ち、爆炎は星核すら砕いたという。 そこで救世神話を紐解けば、「大神アルゴルはこれを救済した。彼は『地球展開』――星を平らに再形成し […]
偽教授『林檎と甜橙、女奴隷とその主人』誰だって自分の運命を、自分の運命だけを生きているんだよ。 この世界にはエルフをはじめとする様々な種族が暮らしていますこの大陸はただ一つの帝国によって統治されていますこの帝国では誰も魔物や怪物の脅威に怯える必要はありませんですがこの社会には 奴隷制度が存在しています この物語の語り手を務めますイリス・レティクラタは25歳になるエルフ族の才媛。物語の冒頭、ルービィ […]
おすすめのweb小説(恋愛)3選 こんにちは、辰井です。自己紹介をすると大体年間1000作web小説を読む人です。そんな人が独断と偏見でおすすめweb小説(恋愛)を選んでみました。恋愛には色んなかたちがあるけれど、BL編と百合編も作るので、今回はBLと百合ではない恋愛を描いた小説を選びました。それぞれの作品のリンクも貼るので是非読んでみてください。 姫乃只紫『安定限界』 【作品情報】 姫乃只紫『安 […]
姫乃只紫『安定限界』 彼女の胸のざわめきを少しでも落ち着かせることができるのなら、僕は。 “健全”な三角関係にはなれなかった少年少女の話。いっそバチバチやり合えたら良かったのにね。 読解難易度:NORMAL「学生時代好きな人がいたけど、あの人には自分より相応しい人がいるとか、これはLoveじゃなくてLikeかもとか、自分は今の立ち位置で満足してるとか、何かと自己を正当化する […]
おすすめのweb小説(BL)6選+おまけ こんにちは、辰井です。自己紹介をすると大体年間1000作web小説を読む人です。そんな人が独断と偏見でおすすめweb小説(BL)を選んでみました。かなり個性派揃いです。それぞれの作品のリンクも貼るので是非読んでみてください。 姫乃只紫『群青マイルド&ビター』 【作品情報】 姫乃只紫『群青マイルド&ビター』 「大好きなお前に、俺の気持ちが伝わっていなくてよか […]
坂水『魔術師の小指』 きっと事実としてはお義父さんの言うことが正しいのです。 「せいぜい『世界びっくり人間』か『一発屋芸人』ぐらいのものだ」 しかし、絵里子はその一つきりの能力で、多彩な効果を生んできました。まるで彼女が思いのままにいくつもの魔術を行使する魔術師であるかのように。いいえ、その限られた力が限られていることを(抜けているとか言われるけれど、あまり)感じさせず、周囲を魅せたという点 […]
佐倉島こみかん『鈴蘭記念日』 そっと口づければ、幸福の再来の味がした。 二人の特別な記念日には、美味しい料理と鈴蘭の花を食卓に。 ハッピーエンドはお好きですか? この「ご飯が美味しそうだったで賞」を受け取ってください……優勝です……。ご飯描写だけで百万点なので、ぜひあのご飯を見るためだけにでも皆様に読んでいただきたいと思っています。空腹時に読んであまりのことに笑みが零れました。 そして美味 […]