ウェルメイドな物語『赤ちゃんを産む魚』
作品情報 外宮あくと『赤ちゃんを産む魚』 どうして気付けなかったのだろう。誰よりも近くにいたのに… グッピーは、卵をお腹の中で孵して稚魚を産む。まるで人間みたいだと私は思った。 と、母魚はくるりと稚魚に振り向き、稚魚をパクリと……。それを目にした私は――――涙と共に叫びがとまらなくなった。 ※「小説家になろう」にも掲載しています。 講評 こんばんは、辰井圭斗です。昨年は「辰井講評窓口3」にご参加く […]
作品情報 外宮あくと『赤ちゃんを産む魚』 どうして気付けなかったのだろう。誰よりも近くにいたのに… グッピーは、卵をお腹の中で孵して稚魚を産む。まるで人間みたいだと私は思った。 と、母魚はくるりと稚魚に振り向き、稚魚をパクリと……。それを目にした私は――――涙と共に叫びがとまらなくなった。 ※「小説家になろう」にも掲載しています。 講評 こんばんは、辰井圭斗です。昨年は「辰井講評窓口3」にご参加く […]
姫乃只紫『僕は小説を書くのが好きで好きで堪らないヤツが憎くて憎くて仕方がない』 才能と実力さえあれば、小説家になれると思っていました。 「どうして──みんな脚光を浴びたら、評価されたら、自分の作品が生計を立てることに繋がったら、それは嬉しいことに違いないという宗教を信じているのでしょう」 最初読んだ時救われたと思ったんです。でも、それは多分この作品を読んで救われたと言っている多くの人とは違った感想 […]
ナツメ『オフィーリアの残像(原題=メメント・モリ)』 瞼の裏に浮かんでいる 十八歳のわたくしの水死体 第二回偽物川小説大賞参加作品です こんにちは、辰井です。先日は自主企画『辰井講評窓口3』にご参加くださりありがとうございました。遅くなってしまい申し訳ありません。こちらに講評を書きます。 訪れなかった死の美しさを想う話、とまとめてしまうと言葉足らずな気がします。その反対側に生きている私、老いていく […]
佐倉島こみかん『あるいは最後の晩餐』 間違えれば最後の晩餐!? 毒入り料理を選ぶ為、許された質問は1つ 麻薬売買の情報を警察に売ったとあらぬ疑いを掛けられた鬼島(きじま)は、拷問官の馬酔木(あしび)の元で目覚める。生きて戻るチャンスと言われて出されたのは、正しい組み合わせで食べれば助かる毒入りの料理で――!?※『草食アングラ森小説賞』参加作品です。 おはようございます、辰井です。先日は自主企画「辰 […]
和田島イサキ『フレンチクルーラー・ミニマル・ゲリオン』 男子高専生、人の股間をめちゃくちゃ揉んでくるおっさんに捕まる まだ十代の頃、曖昧な自認の境界線の上で、やじろべえみたいに揺れていた日々の思い出。 【お題】アンダーグラウンド【ジャンル】私小説風BL【登場人物】小指の欠けたおっさん、ネットで知り合った妻子持ちの男性、『僕』 [注意!] 本作中には、男性同士のそこそこ生々しい性的接触の表現と、露 […]
宮塚恵一『シャグシャグ』 俺たちはシャグシャグ。行き当たりばったりの阿呆。 ラブホ部屋の清掃、迷惑客の追い出し、キャストの斡旋、エトセトラ。風俗店のひしめく街で、泥水を啜りながら何でも屋のようなことをしている龍之介とカーマーンの二人。今日も今日とて仕事に邁進するが、二人にはもう一つ、別の顔がある……。 こんにちは、辰井です。先日は自主企画「辰井講評窓口3」にご参加くださりありがとうございました。こ […]
五水井ラグ『ストロベリーポップキャンディー。』 「さみしいよ。ふうって呼んで。お友だちになろ?」――絶望系青春ノベル「友だちになって下さい、……嘘でいいから」 たいして話したことがなかったクラスの女子との、とある夏。 ◆ 2014年8月31日、執筆。 2015年12月17日、加筆修正。 2016年6月30日、エブリスタ「みんなで作ったどんでん返し特集」掲載。 2017年8月、エ […]
高村 芳『花と罪悪』 男は花を愛した。罪悪感を抱きながら。 男は毎週花屋に寄り、花を買っていく。とある男の、罪悪ともいえる花への愛をつづった物語。 ※自慰表現があります。苦手な方はご注意ください。 素晴らしかったです。花を使った自慰というよりは、花との性行為と罪悪の物語。 冒頭から息を呑みました。世界の解像度が高かったので。読者に情景を喚起する力が強いと思います。展開されるのは落ち着いた […]
佐倉島こみかん『ケンちゃんと悪くない魔女?』 良かったねえ、少年――私が悪い魔女じゃなくて 土曜日の中央公園には魔女が出る――小学生の間で噂になっているその『魔女』は、夕方にベンチでクレープを食べるという。チビでビビリと馬鹿にされたケンタは、その『魔女』に本当に魔女なのか聞いて、ビビリでないことを証明することになってしまった。 キャプションの時点で好きです。実は以前(神ひな川がまだ開催されて […]
佐倉島こみかん『ハッカ味ドロップス』 私も、花澄も、きっと落ちこぼれの「ドロップ」なのだ。 極端に空気の読めない落ちこぼれの花澄と、極端に合理的で歯に衣着せない物言いの凛。正反対の不器用な二人が狭い文芸部室で食べるのはドロップス。花澄の性格の理由とハッカ味のドロップが気づかせた二人の関係性とは――? 私自身双極性障害の診断を受けたことがあるので、作中アスペルガー症候群の診断を受け動揺する花澄 […]