途中からびっくりするくらいドライ『好きなままで好きでいい』

猫柳蝉丸『好きなままで好きでいい

叶わなくても、届かなくても、好きなままで好きでいい。――本当に?

秋の放課後、僕は幼馴染の千佳ちゃんに告白する。
失恋すると、分かっていて。




こんにちは、辰井圭斗です。昨年は自主企画「辰井講評窓口2」にご参加くださりありがとうございました。すっかり遅くなってしまい申し訳ありません。こちらに講評を書きます。

振られると分かっている相手に告白して友達以上恋人未満の関係を捨てる話。前半はとてもピュアに千佳ちゃんへの思いが述べられるので、告白前の1日から描写した方がバランスがいいのではないかなと思いながら読んでいたのですが、後半に入ってかなりドライで計算高いといってもよい心情描写に入り、そっちが本題であるようにさえ思え驚きました。よい意味で意表を突かれる、意外なものを読ませていただいたという印象です。なるほど、これなら告白のタイミングから小説を始めてもいいかなと思わせられました。
情景描写はほとんどありませんが、影が伸びていくところなど印象的で、コンパクトながらよく効いているなと感じました。

全体的に説明的になってしまっているのは気にかかるところです。会話でも一人になってからも、心情の書き方がかなり直接的ではあります。本来もっと話数字数がかかる話を短編に圧縮したために生じている部分だと思います。欲を言えばこの3倍の分量でゆっくり書いた方がいい題材かもしれません。

ラブコメでも曖昧でぬるい関係にとどまる主人公が多い昨今、ドライな主人公が新鮮でした。ドライになりきれないところが青春ですね。読めてよかったです。読ませてくださりありがとうございました。




【作者様からの返信】

読了、ご感想、ありがとうございます。
思い付いた展開をそのままコンパクトに書いてしまったので、余韻がそんなになかったかもしれませんね。ついやってしまいました。まあ、そんな長々書いてもだるいかもしれないので、これはこれでよかった気もします。
あまり冴えない男子には叶わない恋なんて即切りが一番…。かな?というのを書いてみたかった気がします。
それでは、この度は企画に参加させて頂き、ありがとうございました。

猫柳蝉丸『好きなままで好きでいい