甘やかに『この滅びた世界の中で、あなたと私は死んでいく』

間川 レイ『この滅びた世界の中で、あなたと私は死んでいく

食料も水もない核戦争後の日本。そこで二人の下した決断とは

核の炎で世界が焼き尽くされた後の近い未来の日本。そこで生きていた私と真宵。だけどもう、この世界には食料も水も残ってなくて。そこで二人の下した決断とは。これは、愛と悲しみの物語。




こんにちは、辰井圭斗です。先日は自主企画「辰井講評窓口3」にご参加くださりありがとうございました。こちらに講評を書きます。

核戦争後の望みも尽きた世界で心中する女の子2人の百合。書きたいものをお書きになったのだろうなと感じました。科学的に、あと人体の構造的にノイズが走る部分はあるのですが、主眼はそちらではなく、あくまでポストアポカリプスの望みの無い世界で女の子2人が甘やかささえ漂わせて死んでいくというところを見るべきなのでしょうからそのように読もうと思います。
そう、”甘やかささえ漂わせて”。湿った愁嘆場はミニマムに抑えて、あくまで百合のうつくしさをお書きになったのは作品に一貫したものを感じました。

途中、千代田区の光景を見るところがよかったです。雲と死の灰で真っ白な大地、そして黒々としたビルの墓標立つ完全な死の世界。そのモノクロで構築された光景に確かに宗教画のような荘厳さを感じました。短い描写にも関わらずお見事です。そして、「私」がその世界に”美”を感じてしまうのもこの話においては爽やかであります。

百合として気になるところは、互いにそこまでの関係性になる2人の想いにあまり説得力を感じられなかったところです。たまたま出会った2人、しかも”このシェルターに逃げ込んでからの短い付き合い”の2人という、心中に至る百合短篇を書くにはかなり難易度の高い設定ですが、もう一押し、それでも或いはだからこその互いに対する2人の想いの理由になる部分を見せてほしかったと思います。

間川さん自身のこの作品にかける熱量が伝わってくるような作品でした。読ませてくださりありがとうございました。




【作者様からの返信】

辰井様、ご講評頂きありがとうございます。
頂いたご講評をもとに読み返すと、まさにその通りと言ったものばかりで、成る程と思わず唸らせて頂くほど素敵なご講評でした!

今後とも精進していきますのでまたご縁がありましたら宜しくお願い致します!

間川 レイ『この滅びた世界の中で、あなたと私は死んでいく